配偶者が暴力を振るうことを離婚原因として、離婚調停や離婚裁判を行うケースは、多く見られます。民法上は、暴力行為が離婚原因であるとは規定されていないのですが、「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。」(民法770条1項5号)に該当するものとして、他の離婚原因の有無と併せて主張されます。
ここでは、暴力行為についてのみ検討してみますが、調停や裁判で、暴力を振るった側がその事実を認めるというケースは多くありません。相手方が暴力行為の事実を認めないような場合は、それを裏付けるような証拠を提出する必要がでてきます。
典型的なものとしては、医師の書いた診断書となります。例えば、顔を殴られてあざができたような場合は、その原因(暴力)について医師に説明して診断書を書いてもらい、写真で傷害結果がわかるように記録しておくとよいでしょう。
また、暴力行為は、一度だけではなく、繰り返し行われることが多いですから、暴力行為が行われたときは、その日時、場所についてもメモして残しておくと、離婚手続きにおいては有効でしょう。
なお、直接暴力を振るわれた場合のほか、暴言、脅迫等の言葉による暴力の場合も、離婚原因となり得ますので、どのような言葉を発せられたのかについて、日時、場所をメモしておくことは有益です。そのような暴言が、録音されていれば、その証拠としての価値は大きいかもしれませんが、暴言を予測して録音の準備をするのは現実的ではないかもしれません。